ニューズレター
特許訴訟の審理・手続の迅速化の推進、特許裁判所の設立
国内ハイテク産業の急速な発展により生じる知的財産権紛争は絶えることなく、これに対応するため、司法院は既に知的財産専門裁判所、特許裁判所及び専門裁判所設立に関する3つのプランを提出し、これを以って知的財産権訴訟の審理及び手続の迅速化を推進する。
この司法改革は企業界が久しく待ち望んでいたものであり、これまでも外国企業のトップと裁判官による数多くの司法革新プランをめぐる話合いの席において何度も取り上げられてきた。広い視点から見れば、台湾の将来の競争力は科学技術分野での競争力向上にあり、知的財産権の保障はその鍵となる。現在、台湾の知的財産権に関連する法律規定の改正は既に世界のそれと足並みをそろえており、これらは、改正後の法律規範をいかに執行していくかが知的財産権保護の重要な課題となる。現在、民事訴訟の審理時間は長く、効率は極めて悪い状態にあり、また、往々にしてそこで判定される補償が不十分なものであるため、企業の台湾ハイテク産業への投資意欲に影響を及ぼしていた。
訴訟過程が最も長く、特許紛争の歴代記録を塗り替えたケースは、四維企業と地球工業の2社によるeasy-tear粘着テープ(免刀膠帶)の発明をめぐる特許紛争で、両社は1971年から30年間も争い続け、昨年、最高行政裁判所判決確定によってようやく終結した。
裁判所が推進する予定の3つの改革プランはそれぞれ以下の通りである。
1.高等裁判所に直接知的財産専門裁判所を付設する。但し、これには係争当事者の審級の利益を奪う疑いがあり、且つ我が国における現在の二重構造問題、即ち、知的財産権に関する民事・刑事訴訟の処理は一般裁判所が担当し、特許や商標の有効性をめぐる問題の処理は行政裁判所が担当しているという問題を依然として解決することができない。
2.高等裁判所に特許裁判所を増設する。過去において行政裁判所が審理してきた特許権の有効性をめぐる問題は直接二審特許裁判所で審議し、一度に解決する。
3.台北、台中及び高雄の3つの地方裁判所に知的財産専門裁判所を設置するとともに、高等裁判所に知的財産専門裁判所を設置する。但し、現行の行政裁判所が特許の有効性をめぐる紛争を審理するという二重構造は依然として残される。
裁判所が改革プランを迅速に実行に移すことができれば、知的財産権の保護が困難であるという我が国の現状を速やかに解決する一助となるだろう。